遺言書

遺書と遺言書は違う!「遺言書」の正しい書き方

ここでは遺言書の正しい書き方についてお話していきます。
・・・遺書ではありません。

実は遺書と遺言書は、似ているようで
全く異なる役割と意味があります。
相続に関する重要な遺言を残したとしても、
正しい書き方がされていなければ法的効力を持ちません。

遺言者の意思と異なる結果にならないように、
遺書と遺言書の違いと役割について、
そして法的効力のある遺言書の書き方について
しっかり学んでいきましょう。

法的な文章ではない遺書、法的な文章である遺言書

一般によく知られているのは遺書の方でしょう。
レポート用紙の走り書きのようなものからビデオメッセージまで、
映画やドラマでも見かけるものは遺書です。

遺書は生前の意思を誰かに伝えるための手紙という位置づけで、
あくまで私的文書に留まります。
書き置いたメモに遺産を誰に渡すか明記したとしても
不備があれば無効になってしまいます。

一方、遺言書は民法で定められた法的文書です。
書式や作成方法、記入内容に至るまで細かく定められています。
指定の形式に沿って書くことで法的効力を持ち、
相続争いを未然に防ぐことができます。

遺言書は正しい形式で作成しなければ効力を持ちません。
遺言者以外の第三者の意見が反映されている場合は無効になり、
遺言者以外の者に書き換えられた場合などは罰則が与えられるなど、
厳密な規定があるのが特徴です。

そのため法的な文章である遺言書と、
私的に伝えたい遺書はわけて考えるべきということです。

遺言書は3種類。作成方法はそれぞれ異なります。

遺言書は3種類にわかれており、
それぞれが定められた方式で作成していく必要があります。

1.自書証書遺言(じひつしょうしょいごん)

最も簡単で、費用を抑えられるのがこの方式です。
自分で書いて作成する遺言書です。

紙に遺言の内容、氏名、日付などの内容を
すべて自筆で記入し、署名の下に必ず押印します。

自宅で1人で作成できるため、
他の方式と比べて費用がかからず、
遺言書の存在や内容を秘密にしておけるのもメリットです。

ただしデメリットもあります。
細かい規定があるため1ヶ所でも不備があれば無効になるおそれがあること。
本人しか知らないため発見されないケースや、破棄や隠匿のリスクがあります。

2.公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)

遺言書を法律の専門家に代筆してもらう方式です。
複雑な内容の遺言でも不備になる可能性が低く、
法的に有効な遺言書を安全に作成することができます。
原本は公証役場に保管されるため、破棄や改ざんのリスクもありません。

また、身体に障害をお持ちの方などで自筆で遺言書を書けない方にも、
この方式であれば作成が可能です。

デメリットは費用や時間がかかること、信頼できる証人が2人必要であること、
遺言の内容が第三者に知られてしまうことです。
とはいえ、最も確実に法的効力のある遺言書を残せる方式であるため、
近年ではこの方式で残す人が増加傾向にあります。

3.秘密証書遺言(ひみつしょうしょいごん)

秘密証書遺言は自分で書いた遺言書を公証役場に持っていき、
自分で書いた遺言書であることを証明する手続きを取る方式です。
遺言書自身が署名と捺印したらパソコンで作成しても代筆してもらっても構いません。

メリットは第三者に遺言内容を知られずに済み、破棄・改ざんの恐れがないこと、
自筆で書く必要がないことが挙げられます。
ただしデメリットとしては、内容が本人しか確認しないため不備が発生しやすいこと、
公証人と証人2人が必要であること、原本は自分で管理しなければならないことです。

公正証書遺言と比べると手間がかかり無効になる恐れが高いため、
近年では減少傾向にある方式でもあります。

遺言書が無効になるケースとは?

遺言書が法的な効力を持つには、厳格な作成方式を守る必要があります。
よくあるケースとしては、日付や署名、押印を忘れているケースや、
「2020年吉日」というように日付が曖昧になっているケースがあります。

秘密証書遺言以外の方式でパソコンで作成されていたり、
記載されている財産の内容が不明確であったり、
加筆修正の方式が間違えていたりする場合も無効になります。

最も確実な公正証書遺言であっても、遺言書本人が認知症であるなど
遺言能力がないと判断された場合は無効になります。

「難しそう・・・。」と思った方は公正証書遺言がおすすめ

遺言書には、「どこまで遺言の効力が発生するか」という遺言事項もあり、
遺言事項にないことを記入しても法的効力は与えられません。

「何を書くべきか」「どのように記入すべきか」
しっかり理解してから作成しないと
思わぬ相続トラブルに発展する恐れがあります。

相続発生後にも様々な相続手続きが必要になりますから、
司法書士などの専門家に任せる公正証書遺言であれば、
確実でスムーズに相続手続きを進めることができます。

この記事を読んで難しい印象を感じた方は、
多少の費用はかかりますが公正証書遺言を
利用することをおすすめします。

詳しい作成方法については司法書士事務所などでも
丁寧に対応してもらえます。
無料相談を受け付けている事務所もありますので、
気軽に相談してみると良いでしょう。

死が迫った際に書く遺書と違い、
遺言書はご家族のくらしを守る法的手続きになります。
可能であればご家族ともよく話し合って、
元気なうちに遺言書を作成しておきましょう。


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